増田有華さんを応援しながら英語学習+α

増田有華ファンが英語学習に悪戦苦闘する日記

ニューズウィーク日本版 世界一英語が苦手な日本人へ(1)

ニューズウィーク日本版の2013年7月23日号に「TOEFL時代を制する英語術」という特集が
組まれていたので,買ってきた。メモ書きしていたら,長くなってしまったので,分割。
数字がうまく並べられなくて,かなり見づらくなってしまっています。

なぜ日本人は今も英語が苦手なのか(pp.40-42)by 深田政彦(ニューズウィーク日本版記者)

冒頭,ベナン(Benin)が登場し,TOEFLのspeaking scoreが日本と並んで,世界最低の17で
あることが紹介されている。これだけじゃ,日本があまりにもかわいそうなので,全スコアを
比較すると,

Benin R(16) L(15) S(17) W(18) T(66)
Japan R(18) L(17) S(17) W(18) T(70)

TOEFL全体の平均についての記述はないけれども,性別で

Males   R(20.0) L(19.4) S(19.7) W(20.5) T(80)
Females R(19.8) L(19.6) S(20.6) W(20.9) T(81)

とあるから,80あたりが平均。統計的に性差が有意なのかは下記のサマリーには記述がない。

記事も参照しているTest and Score Data Summary for TOEFL iBT Tests and TOEFL PBT Tests
January 2012–December 2012 Test Data(ここです)には但し書きが書かれている(p.6)。

ETS, creator of the TOEFL test, does not endorse the practice of ranking countries
on the basis of TOEFL scores, as this is a misuse of data. The TOEFL test provides 
accurate scores at the individual level; it is not appropriate for comparing countries. 
The differences in the number of students taking the test in each country, how early English is 
introduced into the curriculum, how many hours per week are devoted to learning English, and 
the fact that those taking the test are not representative of all English speakers in each country 
or any defined population make ranking by test score meaningless.

あと,記事にはSEM(standard error of measurement)についての記述がないけど,
R(2.78), L(2.40), S(1.70), W(2.65), T(4.88)となっている。(ここです)
1.96掛けて,95%水準にすると,R(5.45), L(4.70), S(3.33), W(5.19), T(9.56)になる。
スコアを比較するためには,SEdiff(standard error of difference)を計算しなければならない。
ルート2(1.41)掛けて,R(7.68), L(6.63), S(4.70), W(7.32), T(13.48)となる。
日本を基準にすると,次の範囲では差があるとは言いがたいわけですわ。

R (10.32-25.68)
L (10.37-23.63)
S (12.30-21.70)
W (10.68-25.32)
T (56.52-83.48)

だから今後のスコアの目標は,とりあえず,R(26), L(24), S(22), W(26), T(84)になる。
現在の韓国のスコアを上回らなくてはならないということだ。中国,韓国のスコアは
ドーピング疑惑があるわけではあるが。

記事に出てくる国のデータを拾うと,

Germany R(23) L(25) S(25) W(24) T(96)
Italy       R(24) L(23) S(22) W(22) T(90)
France    R(22) L(22) S(22) W(22) T(88)

フランスのスコア,数字の並び方がすごい!なぜオランダを拾わないのか?

China         R(20) L(18) S(19) W(20) T(77)
North Korea R(19) L(19) S(20) W(21) T(80)
South Korea R(21) L(21) S(20) W(22) T(84)

略称で書きますが,政治的意図はまったくありません。韓国はともかく,
北朝鮮,中国とは差があるとは言いがたいわけだが。

Cambodia  R(15) L(15) S(19) W(19) T(68)
Mongolia    R(15) L(17) S(18) W(18) T(68)

記事で触れられていない国をいくつか拾うと,

Netherlands    R(24) L(26) S(26) W(24) T(100)
(Dutch)          R(24) L(26) S(26) W(25) T(101)
United Kingdom R(22) L(24) S(25) W(23) T(94)
India              R(22) L(22) S(24) W(24) T(91)
(Hindi)            R(23) L(24) S(24) W(24) T(95)
Singapore        R(24) L(25) S(24) W(25) T(98)
Philippines    R(21) L(22) S(24) W(23) T(89)
(Tagalog)      R(21) L(22) S(24) W(23) T(89)

Native languageのデータにEnglishがないので,イギリスのスコアは英語が母語でない方の
スコアと推測される(当たり前か?)。

日本人の2つの言い訳

・日本語と英語は違いすぎるから仕方がない
(反論)韓国はがんばっている!

・実際に使う機会がないので上達しない
(反論)記事に記載なし

日本語と英語の距離感については,記事では出典が書かれていないが,内容から
アメリカのthe Foreign Service Institute (FSI)による研修時間による最高難易度のカテゴリー3に,
日本語,アラビア語,中国語,韓国語が入っていることからのようだ。このFSIの数字って,
けっこう独り歩きしている気がするんだが,どの程度当てになるのか?
あと,言語取得について,対称性があるのかどうかも気になるのだが,そういった話も記事にはない。

時代遅れの学習法に固執

日本人が英語下手を脱却できないのは時代遅れの学習法にあるby 白井恭弘教授
・パターンプラクティス ・文法や訳読に没頭
「4技能重視の学習法が効果的」(国際教養大学で実践)
;このあたりについては次の記事で詳しく述べられている。

記事の最後に

いつまでたっても「世界一英語を話せない国」のままだ。

とあるが,TOEFLの特集記事だからしょうがないけど,TOEFLスコアだけ
「世界一英語を話せない国」とは判断できないと思うのですわ。

IELTSのスコア2012年(ここです)Academic

China        L(5.8) R(5.9) W(5.2) S(5.3) O(5.6)
India        L(6.3) R(5.8) W(5.6) S(6.0) O(6.0)
(Hindi)      L(6.0) R(6.5) W(5.8) S(6.2) O(6.2)
Italy        L(6.5) R(7.0) W(5.8) S(6.3) O(6.5)
Japan        L(6.0) R(6.0) W(5.3) S(5.6) O(5.8)
South Korea  L(6.2) R(6.1) W(5.4) S(5.6) O(5.9)
Philippines  L(7.0) R(6.6) W(6.2) S(6.8) O(6.7)
(Tagalog)    L(6.7) R(7.1) W(6.3) S(6.9) O(6.8)
IELTSのこのデータでは,first languageをEnglishとしている層が存在します。
English      L(6.9) R(7.2) W(6.6) S(7.4) O(7.1)

IETLSのスコアの比較では印象が違ってくる。日本は健闘しているぞ!
どんぐりの背比べ状態ではあるが。

恐らく私がTOEFL-iBTやIELTS(academic)を受けても日本の平均に達しませんわ。
記者の深田政彦氏はきっとTOEFL-iBTで3桁は楽勝なのだろう。

にゃもし